2005年 10月 21日
デジタル一眼レフ イメージセンサー 湿式クリーニング完了 |
デジタル一眼レフの人気が日ごとに高まっているという。2年前、おじさんがEOS 10Dを買ったときには、一部の物好きしか買わなかったデジタル一眼レフであるが、今や写真が好きな人なら誰もが買う時代になった。たかだか2年のことであるが、デジカメの世界の変化は本当に早く、そして劇的である。そうした時代に、にわかにクローズアップされてきたのが、撮像素子に付くゴミの問題である。この問題は、コンパクトデジカメや銀塩フィルムカメラには存在せず、デジタル一眼レフ固有の問題だけに、頭を悩ます人が急に増えてきた。

撮像素子はイメージセンサーともいい、CCD、CMOS、"Foveon X3"など、数種類のものがある。銀塩カメラであればフィルムにあたる、いわば、デジタルカメラの心臓部である。デジタル一眼レフの撮像素子はコンパクトデジカメのものとは異なり、簡単に見ることができる。レンズを外し、ミラーを上げ、シャッターを開くだけで、ミラーボックス奥に青緑色に輝く撮像素子を見ることができるのだ。こうした単純な構造ゆえに、デジタル一眼レフの撮像素子にはゴミが付きやすい。厳密にいえば、CCD/CMOSなど撮像素子の前に貼り付けてあるLPF=ローパスフィルターにホコリやゴミが付着するのである。

撮像素子にゴミが付くと、撮った画像に黒い点として現れる。絞りを絞るほど黒点はくっきりしてくる。上の写真では太陽のまわりに光条を出すため、F22まで絞っているが、これぐらい絞ると、てきめんにゴミが浮き上がってくる。この程度であれば、フォトレタッチで直せるが、それにしても面倒くさい。出現する場所や絵柄によっては直せない場合もある。
撮像素子にゴミが付くのはレンズ交換のときが多い。レンズ交換時に、ミラーボックスに空気中の微細なホコリやゴミが入り、シャッターを切った瞬間、撮像板に付着してしまうのだ。フィルムカメラであれば、撮影するたびにフィルムは移動していくから、ゴミが付着したまま残るということはなく、レンズ交換が問題となったことはない。ところが、デジタル一眼レフでは、付着したホコリやゴミはそのまま撮像素子上に残り、消えることがないばかりか、次第に蓄積されて行くからたちが悪い。
レンズ交換をしなければ、ゴミは付かないかというと、残念ながら、それでもゴミは付着する。ミラーボックスの中には、ミラーやシャッターなどの可動機構があるから、それらの摩耗により、特に使い始めはメカニカルダストが出る。これは次第に減っていくが、ズームレンズを使っていると、ゴミは入り続ける。ズームレンズは鏡胴が伸びたり縮んだりするので、一種のポンプの役割を果たし、知らず知らずのうちに、ゴミを吸い込むのである。
こうしたことから、デジタル一眼レフの撮像素子のゴミ問題は、構造的欠陥などと呼ばれるが、未だ抜本的対策はなされていない。"OLYMPUS E-SYSTEM スーパーソニックウェーブフィルター(超音波防塵フィルター)"は画期的なゴミ付着防止装置であるが、100%ゴミが付かないというわけではない。
おじさんが使っている"Canon EOS 10D"は、防塵装置など何も付いていないから、レンズ交換のたびに微細なゴミが増える。ときどきブロアで掃除しているが、それでも決して減りはしない。おじさんは空写真を撮るし、超広角レンズで撮るから、F8-11程度には絞る。くわえて、空のトーンを暗く落とし、コントラストを強調するレタッチを施すから、撮像素子のゴミ問題は被害が大きい。過去にも、"2005年07月11日 撮像板(CMOS)のゴミ"、"2005年08月10日 CMOSセンサー掃除"などのエントリを書いている。
撮像素子に付いたゴミの確認方法は簡単である。一面無地の被写体を選び、F22-32程度に絞り込んで撮影するだけでいい。白紙を撮影する方法もあるが、手軽なのは青空や一面の雲を撮ることである。青空の場合はフォーカスはアバウトでいいが、曇天の場合は故意にピンボケにした方が分かりやすい。故意にピンボケにするには、MFで30cmなど最短撮影距離に固定すればOKである。本来、無限遠にある雲を最短撮影距離で撮るのだから、これはもう見事にボケる。
ズームレンズの場合は焦点距離を望遠側にした方がいい。青空と雲がまだらになったような部分を避けるためには、狭画角の方がフレーミングしやすいからである。青空と雲がまだらになっているような空は、いくらアウトフォーカスでボケボケになっているとはいえ、ゴミは見つけにくい。単焦点レンズの場合も、同様に望遠レンズを使った方が簡単である。私は、ゴミチェック用レンズとして、F32まで絞れるTAMRON SP AF90mm F2.8を愛用している。というわけで、青空部分だけを狙って撮影すると、下のような写真が撮れる。曇天であれば、グレーになるだけである。

これは、おじさんのEOS 10Dの一昨日の状況である。F32まで絞っているが、ノーレタッチでこれぐらいゴミが写るのは重症である。[拡大画像 900x600pixels] ブロアで吹くだけの乾式クリーニングでは、もはやゴミが落ちなくなっている。撮像素子は帯電しているため、一度付いたゴミは落ちにくい。大きなゴミほど簡単には落ちてくれない。この写真をPhotoshopで画像処理し、ゴミの様子を分かりやすくしたのが、下の画像である。

ここまで大量のゴミが付いてしまったら、メーカーのサービスセンターに持ち込むのが一番確実な方法である。キヤノンの場合は、今のところは無償でセンサークリーニングをしてくれるから、おじさんも今年の3月にはサービスセンターに持ち込んでいる。もちろん、そのときは綺麗になったが、4~5日の間、カメラが使えなくなるのが痛かった。そこで、今回は自分で湿式クリーニングを行ってみることにした。ネット上の情報を調べる限り、何とか掃除できそうだったし、趣味で集めた"クラシックカメラ"の汚れたレンズを、何枚もレンズクリーナーで磨いた経験があったからである。撮像素子の掃除は、レンズクリーニングと通じる部分があるらしい。

名古屋駅前のビックカメラで、湿式クリーニングのための道具を買ってきた。"HCL/堀内カラーのレンズクリーニング用品"である。しめて1610円であった。"ニコンのCCDクリーニングキット"というものがあることは知っていたが、少々高価である。納得できる高価さであればよいが、どう考えても、"8190円"もするようなものには思えない。それに、クリーニングクロスやブラシは必要と思えない。そんなわけで、必要と思われるものだけを買ってきたのである。"堀内カラー"といえば、銀塩世代にとっては親しみ深いプロラボであり、信頼感はある。そうおかしなものは売っていないだろうとの判断であった。

これがクリーナー液である。850円/60mlなり。大きく「オリンパスEEクリーナー(3310)使用」と書いてある。オリンパスEEクリーナー#3310は精密光学機器用洗浄剤としては定評があるものである。イメージセンサー清掃用とはどこにも書かれていないが、ネット上を調べてみると、これで、CCDやCMOSを掃除する人はけっこう多いらしい。オリンパスの"ハイパークリーンEE-3310"のウェブサイトを見ても、「レンズ・プリズム等の光学系精密部品の仕上げクリーニングに最適」と書いてある。レンズ・プリズムが掃除できるのなら、イメージセンサークリーニングは問題ないだろう。プロショップ、GIN-ICHIの"CCDクリーニングについて"というページには、具体的に「オリンパス ハイパークリーン3310を使う」と書かれている。
撮像素子清掃には無水エタノール(アルコール)を使うというネット情報が多いが、オリンパスEEクリーナー#3310もアルコールとシリコン系溶剤の混合物である。能書きとしては、アルコールより速乾性が強く、拭き痕が残りにくいとなっている。注意書きとして、「引火しやすい液体で、空気との爆発性混合物を形成」と書かれてあるから、取扱注意物件である。それでも、無水エタノールが薬局でしか買えないのに比べれば入手しやすい。両者とも危険度はあまり変わらないと思うのだが。容器には中蓋が付いており、長期間使わないときは揮発を防ぐようになっている。レンズ掃除やファインダー掃除もできるので、1本持っていれば何かと重宝しそうである。

レンズクリーニングペーパーである。661円/200枚なり。レーヨン70%、パルプ30%のレーヨン不織布である。かなり柔らかい質感で、昔からあるフジフィルムのゴワゴワしたレンズクリーニングペーパーに比べ、はるかにソフトである。これなら、キズは付きにくいだろう。ケバ立ちや紙粉が少なく、拭き取り後も繊維の付着がない、と書かれているが、実際には多少のゴミが出る。このゴミをひとつ残らず取り去ることはかなり難しい。ホリウチカラーには、ブラシやクリーニングクロスが入ったクリーナーセットがあるが、クリーニングペーパーが15枚しか入っていない。実際に掃除をしてみると分かるが、あっと言う間に15枚など使ってしまう。キットはやめたほうがいいと思う。予備のクリーニングペーパーを買った方がいい。

先細型綿棒である。99円/15本なり。先が細く尖った綿棒である。非常にすぐれもので、細かい部分のクリーニングはこれがないとうまくできない。特にイメージセンサーの四隅は、クリーニングペーパーだけでは対処できない。残ってしまった細かいゴミをすくい上げるのにも使える。安価なものであるが、威力は素晴らしい。15本などとケチなことを言わず、100本買ってくれば良かったと思っている。

クリーニングスティックである。これにクリーニングペーパーを巻き付けて、イメージセンサーの掃除を行う。クリーニングスティックと言えば聞こえはいいが、ただの白木製丸箸と耳かきの軸である。耳かきの軸の方が細くて使いやすいかと思ったが、実際には丸箸の方が安定して使えた。この丸箸は普段調理に使っているものである。毎日洗っているから、ケバ立ちがなく、ゴミが出にくくなっていると思い、これを選んだ。

クリーニングペーパーは、このようにしてスティックに巻いていく。半分ほどは軸からはみ出るようにしておく。この際、手の脂がクリーニングペーパーに付くと具合が悪いから、作業の前には石鹸で手を洗っておいた方がいい。

クリーニングペーパーを巻き終わったところである。左半分にはスティックが入っていない。クニャクニャの状態である。

クリーナー液をクリーニングペーパーに付ける。つける位置は中央部分、つまりスティックの先端部分である。折れ曲がったときに、イメージセンサーに接するあたりにつける。この際、つけすぎは厳禁である。クリーナー液が多い場合でも、ほっておけば揮発してしまうが、その際にはっきり分かる揮発痕、拭きムラができる。これは実写に影響する。

クリーニングスティックはこのようにして使う。少し斜めにして、あまり力を入れず、そ~っと拭くのである。拭く方向は一方向だけ限定である。右から左に拭いて、さらに左から右に拭くという往復清掃をすると、確実にゴミが増える。また、一回拭いたら、すぐにクリーニングペーパーを交換すること。拭いたあとのクリーニングペーパーには、微細なゴミやほこりが付いているので、ヘタをするとゴミをなすりつけることになる。どうしても細かいゴミが残ってしまったら、先細型綿棒に少量のクリーナー液を染み込ませ、ゴミに接触させてすくい取るといい。目視で分からないような細かいゴミは無視していい。どうせたいして写りはしない。

手順は簡単である。まず、カメラをミラーアップし、フォーカルプレーンシャッターを全開にして、撮像素子が見えるようにする。EOS 10Dの場合は、バルブにしなくても、背面液晶メニューから「撮像素子の清掃」を選べば、勝手にミラーアップしシャッターが全開になる。この際、バッテリーは必ず容量が充分にあるものを使うこと。バッテリー切れにより、作業途中でミラーやシャッターが降りたらシャレにならない。ミラーがスティックに当たり、撮像素子を傷つけてしまうかもしれない。また、ミラーアップする前に、作業台の周囲を固く絞った雑巾などで拭いておき、細かいホコリがたたないようにしておくといい。照明が確保できるのなら、風呂場で作業をするのもいいかもしれない。

ミラーアップしたら、さっさと作業をしたほうがいい。このように、チンタラと写真など撮っていると、さらにゴミが入る。写真に黒々と写り込むようなゴミは、たいてい目視でも分かる。老眼のおじさんでも分かるのだから、目さえ良ければ、ちゃんと目視できる。上の写真ではイメージセンサー右上に白っぽいゴミが付いているが、撮影画像では左下に写るゴミである。イメージセンサーに被写体は倒立像として写るのである。

一番最初に掃除した結果がこれである。悪い見本である。[拡大画像 900x600pixels]
あまり防塵を意識せずに、適当に掃除したらこうなった。ゴミは前よりも増えているし、拭き痕、拭きムラも大変なことになっている。もちろん、実写に影響を与える。実写に影響を与えるからこそ、こうして写っているのである。このときは、クリーナー液を付けすぎた上、クリーニングスティックを左右に往復させたが、これは絶対にやめた方がいい。せっかく取れたゴミを再びなすりつけているようなものだからである。

心を入れ替えて、手を洗い、周囲を雑巾がけし、防塵を意識しながら丁寧に掃除した結果がこれである。拭きムラはなくなったし、上の写真よりは綺麗であるが、一番最初に比べると、特に綺麗になった感じはしない。これはイカンと思い、さらに細心の注意を払って掃除をした。クリーニングペーパーは、ひとこすりしたら交換し、決して左右往復はせず、目視で分かるゴミはすべて、先細綿棒で丁寧に拾った。その結果、下のような画像が得られた。

左上のあたりに何かあるようだが、もうこれは見なかったことにした。その他はパーフェクトである。何も見あたらない。[拡大画像 900x600pixels] 左上を気にして、もう一度掃除したら、二度とこの状態は得られないかもしれないので、これで掃除をやめることにした。触らぬ神にたたりなしというではないか。

上の画像の画像処理なしの画像である。F32まで絞っているが、何も出てこない。綺麗なものである。これなら満足である。

クリーニング終了後のショットである。見事に何にもない。以前、キヤノンサービスに出したときは、ゴミはなくなっていたが、拭き痕は残っていた。それよりよほど綺麗である。初めてにしては上出来である。
このエントリを読んで、自前でイメージセンサーの湿式クリーニングをやってみようと思われた場合は、くれぐれも自己責任でお願いしたい。おじさんは何の保証もできない。メーカーは自前湿式クリーニングを万人に勧めてはいない。おじさんの場合は、たまたまうまくいっただけかもしれない。ヘタをすると、ゴミが増えた状態のままになる恐れがある。
おじさんはクラシックカメラのレンズ拭きで修行を積んだが、レンズを拭いたことがない方は、あらかじめ、フィルターやジャンクレンズなどで練習をした方が安全である。ゴミもさることながら、拭きムラが非常に出やすいのだ。拭きムラが出た~拭きなおす~拭きムラが出た~拭きなおすの無限ループに陥る恐れもある。何回も拭いているうちに、ローパスフィルターにキズを付けてしまう恐れもある。

上の写真は、おじさんが持っている35mmフォールディングカメラ、"Kodak Retina II Type 011"のレンズ、Schneider Kreuznach Retina Xenon 50mm F2.0の前玉である。同心円状に顕著なキズが入っているが、これは通称「拭きキズ」と呼ばれるものである。レンズ掃除の際、空気中の微細なゴミがクリーナー液に混じり、ゴミをレンズにこすりつけてしまうため、こうしたキズができる。綺麗にするつもりでも、正しいクリーニング方法で行わないと、逆にレンズにキズを付けてしまうのである。拭きキズは直すことができない。
クラシックカメラのレンズには、拭きキズが付いたものが実に多い。素人の生兵法が多かったのだと思われる。幸い、前玉であるから、これだけ拭きキズが付いていても、よほどの逆光でない限り、普通の撮影には影響はない。このクセノンの場合も影響がないどころか、非常に美しく、さすがはシュナイダー・クロイツナッハという描写をする。しかし、これがイメージセンサーであれば、影響は甚大である。最悪、センサーユニット交換になるだろう。イメージセンサーの湿式クリーニングを行うときは、くれぐれも慎重に行ってほしい。
--------------------
2007/12/20追記
改良版の方法を記載したので、興味のある方は参照してほしい。
"2007年12月20日 究極のLPFクリーニング綿棒 1本10円!"
http://xylocopal2.exblog.jp/7777649/

撮像素子はイメージセンサーともいい、CCD、CMOS、"Foveon X3"など、数種類のものがある。銀塩カメラであればフィルムにあたる、いわば、デジタルカメラの心臓部である。デジタル一眼レフの撮像素子はコンパクトデジカメのものとは異なり、簡単に見ることができる。レンズを外し、ミラーを上げ、シャッターを開くだけで、ミラーボックス奥に青緑色に輝く撮像素子を見ることができるのだ。こうした単純な構造ゆえに、デジタル一眼レフの撮像素子にはゴミが付きやすい。厳密にいえば、CCD/CMOSなど撮像素子の前に貼り付けてあるLPF=ローパスフィルターにホコリやゴミが付着するのである。

撮像素子にゴミが付くと、撮った画像に黒い点として現れる。絞りを絞るほど黒点はくっきりしてくる。上の写真では太陽のまわりに光条を出すため、F22まで絞っているが、これぐらい絞ると、てきめんにゴミが浮き上がってくる。この程度であれば、フォトレタッチで直せるが、それにしても面倒くさい。出現する場所や絵柄によっては直せない場合もある。
撮像素子にゴミが付くのはレンズ交換のときが多い。レンズ交換時に、ミラーボックスに空気中の微細なホコリやゴミが入り、シャッターを切った瞬間、撮像板に付着してしまうのだ。フィルムカメラであれば、撮影するたびにフィルムは移動していくから、ゴミが付着したまま残るということはなく、レンズ交換が問題となったことはない。ところが、デジタル一眼レフでは、付着したホコリやゴミはそのまま撮像素子上に残り、消えることがないばかりか、次第に蓄積されて行くからたちが悪い。
レンズ交換をしなければ、ゴミは付かないかというと、残念ながら、それでもゴミは付着する。ミラーボックスの中には、ミラーやシャッターなどの可動機構があるから、それらの摩耗により、特に使い始めはメカニカルダストが出る。これは次第に減っていくが、ズームレンズを使っていると、ゴミは入り続ける。ズームレンズは鏡胴が伸びたり縮んだりするので、一種のポンプの役割を果たし、知らず知らずのうちに、ゴミを吸い込むのである。
こうしたことから、デジタル一眼レフの撮像素子のゴミ問題は、構造的欠陥などと呼ばれるが、未だ抜本的対策はなされていない。"OLYMPUS E-SYSTEM スーパーソニックウェーブフィルター(超音波防塵フィルター)"は画期的なゴミ付着防止装置であるが、100%ゴミが付かないというわけではない。
おじさんが使っている"Canon EOS 10D"は、防塵装置など何も付いていないから、レンズ交換のたびに微細なゴミが増える。ときどきブロアで掃除しているが、それでも決して減りはしない。おじさんは空写真を撮るし、超広角レンズで撮るから、F8-11程度には絞る。くわえて、空のトーンを暗く落とし、コントラストを強調するレタッチを施すから、撮像素子のゴミ問題は被害が大きい。過去にも、"2005年07月11日 撮像板(CMOS)のゴミ"、"2005年08月10日 CMOSセンサー掃除"などのエントリを書いている。
撮像素子に付いたゴミの確認方法は簡単である。一面無地の被写体を選び、F22-32程度に絞り込んで撮影するだけでいい。白紙を撮影する方法もあるが、手軽なのは青空や一面の雲を撮ることである。青空の場合はフォーカスはアバウトでいいが、曇天の場合は故意にピンボケにした方が分かりやすい。故意にピンボケにするには、MFで30cmなど最短撮影距離に固定すればOKである。本来、無限遠にある雲を最短撮影距離で撮るのだから、これはもう見事にボケる。
ズームレンズの場合は焦点距離を望遠側にした方がいい。青空と雲がまだらになったような部分を避けるためには、狭画角の方がフレーミングしやすいからである。青空と雲がまだらになっているような空は、いくらアウトフォーカスでボケボケになっているとはいえ、ゴミは見つけにくい。単焦点レンズの場合も、同様に望遠レンズを使った方が簡単である。私は、ゴミチェック用レンズとして、F32まで絞れるTAMRON SP AF90mm F2.8を愛用している。というわけで、青空部分だけを狙って撮影すると、下のような写真が撮れる。曇天であれば、グレーになるだけである。

これは、おじさんのEOS 10Dの一昨日の状況である。F32まで絞っているが、ノーレタッチでこれぐらいゴミが写るのは重症である。[拡大画像 900x600pixels] ブロアで吹くだけの乾式クリーニングでは、もはやゴミが落ちなくなっている。撮像素子は帯電しているため、一度付いたゴミは落ちにくい。大きなゴミほど簡単には落ちてくれない。この写真をPhotoshopで画像処理し、ゴミの様子を分かりやすくしたのが、下の画像である。

ここまで大量のゴミが付いてしまったら、メーカーのサービスセンターに持ち込むのが一番確実な方法である。キヤノンの場合は、今のところは無償でセンサークリーニングをしてくれるから、おじさんも今年の3月にはサービスセンターに持ち込んでいる。もちろん、そのときは綺麗になったが、4~5日の間、カメラが使えなくなるのが痛かった。そこで、今回は自分で湿式クリーニングを行ってみることにした。ネット上の情報を調べる限り、何とか掃除できそうだったし、趣味で集めた"クラシックカメラ"の汚れたレンズを、何枚もレンズクリーナーで磨いた経験があったからである。撮像素子の掃除は、レンズクリーニングと通じる部分があるらしい。

名古屋駅前のビックカメラで、湿式クリーニングのための道具を買ってきた。"HCL/堀内カラーのレンズクリーニング用品"である。しめて1610円であった。"ニコンのCCDクリーニングキット"というものがあることは知っていたが、少々高価である。納得できる高価さであればよいが、どう考えても、"8190円"もするようなものには思えない。それに、クリーニングクロスやブラシは必要と思えない。そんなわけで、必要と思われるものだけを買ってきたのである。"堀内カラー"といえば、銀塩世代にとっては親しみ深いプロラボであり、信頼感はある。そうおかしなものは売っていないだろうとの判断であった。

これがクリーナー液である。850円/60mlなり。大きく「オリンパスEEクリーナー(3310)使用」と書いてある。オリンパスEEクリーナー#3310は精密光学機器用洗浄剤としては定評があるものである。イメージセンサー清掃用とはどこにも書かれていないが、ネット上を調べてみると、これで、CCDやCMOSを掃除する人はけっこう多いらしい。オリンパスの"ハイパークリーンEE-3310"のウェブサイトを見ても、「レンズ・プリズム等の光学系精密部品の仕上げクリーニングに最適」と書いてある。レンズ・プリズムが掃除できるのなら、イメージセンサークリーニングは問題ないだろう。プロショップ、GIN-ICHIの"CCDクリーニングについて"というページには、具体的に「オリンパス ハイパークリーン3310を使う」と書かれている。
撮像素子清掃には無水エタノール(アルコール)を使うというネット情報が多いが、オリンパスEEクリーナー#3310もアルコールとシリコン系溶剤の混合物である。能書きとしては、アルコールより速乾性が強く、拭き痕が残りにくいとなっている。注意書きとして、「引火しやすい液体で、空気との爆発性混合物を形成」と書かれてあるから、取扱注意物件である。それでも、無水エタノールが薬局でしか買えないのに比べれば入手しやすい。両者とも危険度はあまり変わらないと思うのだが。容器には中蓋が付いており、長期間使わないときは揮発を防ぐようになっている。レンズ掃除やファインダー掃除もできるので、1本持っていれば何かと重宝しそうである。

レンズクリーニングペーパーである。661円/200枚なり。レーヨン70%、パルプ30%のレーヨン不織布である。かなり柔らかい質感で、昔からあるフジフィルムのゴワゴワしたレンズクリーニングペーパーに比べ、はるかにソフトである。これなら、キズは付きにくいだろう。ケバ立ちや紙粉が少なく、拭き取り後も繊維の付着がない、と書かれているが、実際には多少のゴミが出る。このゴミをひとつ残らず取り去ることはかなり難しい。ホリウチカラーには、ブラシやクリーニングクロスが入ったクリーナーセットがあるが、クリーニングペーパーが15枚しか入っていない。実際に掃除をしてみると分かるが、あっと言う間に15枚など使ってしまう。キットはやめたほうがいいと思う。予備のクリーニングペーパーを買った方がいい。

先細型綿棒である。99円/15本なり。先が細く尖った綿棒である。非常にすぐれもので、細かい部分のクリーニングはこれがないとうまくできない。特にイメージセンサーの四隅は、クリーニングペーパーだけでは対処できない。残ってしまった細かいゴミをすくい上げるのにも使える。安価なものであるが、威力は素晴らしい。15本などとケチなことを言わず、100本買ってくれば良かったと思っている。

クリーニングスティックである。これにクリーニングペーパーを巻き付けて、イメージセンサーの掃除を行う。クリーニングスティックと言えば聞こえはいいが、ただの白木製丸箸と耳かきの軸である。耳かきの軸の方が細くて使いやすいかと思ったが、実際には丸箸の方が安定して使えた。この丸箸は普段調理に使っているものである。毎日洗っているから、ケバ立ちがなく、ゴミが出にくくなっていると思い、これを選んだ。

クリーニングペーパーは、このようにしてスティックに巻いていく。半分ほどは軸からはみ出るようにしておく。この際、手の脂がクリーニングペーパーに付くと具合が悪いから、作業の前には石鹸で手を洗っておいた方がいい。

クリーニングペーパーを巻き終わったところである。左半分にはスティックが入っていない。クニャクニャの状態である。

クリーナー液をクリーニングペーパーに付ける。つける位置は中央部分、つまりスティックの先端部分である。折れ曲がったときに、イメージセンサーに接するあたりにつける。この際、つけすぎは厳禁である。クリーナー液が多い場合でも、ほっておけば揮発してしまうが、その際にはっきり分かる揮発痕、拭きムラができる。これは実写に影響する。

クリーニングスティックはこのようにして使う。少し斜めにして、あまり力を入れず、そ~っと拭くのである。拭く方向は一方向だけ限定である。右から左に拭いて、さらに左から右に拭くという往復清掃をすると、確実にゴミが増える。また、一回拭いたら、すぐにクリーニングペーパーを交換すること。拭いたあとのクリーニングペーパーには、微細なゴミやほこりが付いているので、ヘタをするとゴミをなすりつけることになる。どうしても細かいゴミが残ってしまったら、先細型綿棒に少量のクリーナー液を染み込ませ、ゴミに接触させてすくい取るといい。目視で分からないような細かいゴミは無視していい。どうせたいして写りはしない。

手順は簡単である。まず、カメラをミラーアップし、フォーカルプレーンシャッターを全開にして、撮像素子が見えるようにする。EOS 10Dの場合は、バルブにしなくても、背面液晶メニューから「撮像素子の清掃」を選べば、勝手にミラーアップしシャッターが全開になる。この際、バッテリーは必ず容量が充分にあるものを使うこと。バッテリー切れにより、作業途中でミラーやシャッターが降りたらシャレにならない。ミラーがスティックに当たり、撮像素子を傷つけてしまうかもしれない。また、ミラーアップする前に、作業台の周囲を固く絞った雑巾などで拭いておき、細かいホコリがたたないようにしておくといい。照明が確保できるのなら、風呂場で作業をするのもいいかもしれない。

ミラーアップしたら、さっさと作業をしたほうがいい。このように、チンタラと写真など撮っていると、さらにゴミが入る。写真に黒々と写り込むようなゴミは、たいてい目視でも分かる。老眼のおじさんでも分かるのだから、目さえ良ければ、ちゃんと目視できる。上の写真ではイメージセンサー右上に白っぽいゴミが付いているが、撮影画像では左下に写るゴミである。イメージセンサーに被写体は倒立像として写るのである。

一番最初に掃除した結果がこれである。悪い見本である。[拡大画像 900x600pixels]
あまり防塵を意識せずに、適当に掃除したらこうなった。ゴミは前よりも増えているし、拭き痕、拭きムラも大変なことになっている。もちろん、実写に影響を与える。実写に影響を与えるからこそ、こうして写っているのである。このときは、クリーナー液を付けすぎた上、クリーニングスティックを左右に往復させたが、これは絶対にやめた方がいい。せっかく取れたゴミを再びなすりつけているようなものだからである。

心を入れ替えて、手を洗い、周囲を雑巾がけし、防塵を意識しながら丁寧に掃除した結果がこれである。拭きムラはなくなったし、上の写真よりは綺麗であるが、一番最初に比べると、特に綺麗になった感じはしない。これはイカンと思い、さらに細心の注意を払って掃除をした。クリーニングペーパーは、ひとこすりしたら交換し、決して左右往復はせず、目視で分かるゴミはすべて、先細綿棒で丁寧に拾った。その結果、下のような画像が得られた。

左上のあたりに何かあるようだが、もうこれは見なかったことにした。その他はパーフェクトである。何も見あたらない。[拡大画像 900x600pixels] 左上を気にして、もう一度掃除したら、二度とこの状態は得られないかもしれないので、これで掃除をやめることにした。触らぬ神にたたりなしというではないか。

上の画像の画像処理なしの画像である。F32まで絞っているが、何も出てこない。綺麗なものである。これなら満足である。

クリーニング終了後のショットである。見事に何にもない。以前、キヤノンサービスに出したときは、ゴミはなくなっていたが、拭き痕は残っていた。それよりよほど綺麗である。初めてにしては上出来である。
このエントリを読んで、自前でイメージセンサーの湿式クリーニングをやってみようと思われた場合は、くれぐれも自己責任でお願いしたい。おじさんは何の保証もできない。メーカーは自前湿式クリーニングを万人に勧めてはいない。おじさんの場合は、たまたまうまくいっただけかもしれない。ヘタをすると、ゴミが増えた状態のままになる恐れがある。
おじさんはクラシックカメラのレンズ拭きで修行を積んだが、レンズを拭いたことがない方は、あらかじめ、フィルターやジャンクレンズなどで練習をした方が安全である。ゴミもさることながら、拭きムラが非常に出やすいのだ。拭きムラが出た~拭きなおす~拭きムラが出た~拭きなおすの無限ループに陥る恐れもある。何回も拭いているうちに、ローパスフィルターにキズを付けてしまう恐れもある。

上の写真は、おじさんが持っている35mmフォールディングカメラ、"Kodak Retina II Type 011"のレンズ、Schneider Kreuznach Retina Xenon 50mm F2.0の前玉である。同心円状に顕著なキズが入っているが、これは通称「拭きキズ」と呼ばれるものである。レンズ掃除の際、空気中の微細なゴミがクリーナー液に混じり、ゴミをレンズにこすりつけてしまうため、こうしたキズができる。綺麗にするつもりでも、正しいクリーニング方法で行わないと、逆にレンズにキズを付けてしまうのである。拭きキズは直すことができない。
クラシックカメラのレンズには、拭きキズが付いたものが実に多い。素人の生兵法が多かったのだと思われる。幸い、前玉であるから、これだけ拭きキズが付いていても、よほどの逆光でない限り、普通の撮影には影響はない。このクセノンの場合も影響がないどころか、非常に美しく、さすがはシュナイダー・クロイツナッハという描写をする。しかし、これがイメージセンサーであれば、影響は甚大である。最悪、センサーユニット交換になるだろう。イメージセンサーの湿式クリーニングを行うときは、くれぐれも慎重に行ってほしい。
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2007/12/20追記
改良版の方法を記載したので、興味のある方は参照してほしい。
"2007年12月20日 究極のLPFクリーニング綿棒 1本10円!"
http://xylocopal2.exblog.jp/7777649/
by xylocopal | 2005-10-21 17:22 | Photo





















