2005年 01月 28日
一味唐辛子はチリペッパーの夢を見るか? |
すでに何回も書いたが、おじさんは辛いものが好きである。料理に辛さが足りないと、スパイス類を問答無用でバラバラとかける。京都育ちで薄味好みの女房は、「そんなにかけたら味が分からなくなるよ」と嫌味を言う。結婚以来20数年が経ち、おじさんも薄味方面の味覚はずいぶん鍛えられたが、それでも時々無性に辛いものが食べたくなり、スパイス類をバサバサかけてしまうのである。

和風料理の場合は、「七味唐辛子」あるいは「一味唐辛子」をかける。中華料理、朝鮮料理、タイ料理、欧風料理などの場合は、「チリペッパー」をかける。いずれも高価なものではない。どこでも買える"エスビー食品"の普及品である。
おじさんは、「一味」よりも「七味」の方が使用頻度が高い。七味の方が香りが良いので、単に辛さを求める場合にも、七味を優先しがちなのである。「一味唐辛子」と「チリペッパー」の原材料が「赤唐辛子」だけなのに対して、「七味唐辛子」は様々な香辛料を混ぜた複合香辛料である。その配合成分、配合比率は地域、製造会社によって微妙に異なる。代表的な「七味唐辛子」の成分を挙げてみると、以下のようになる。
"エスビー食品 七味唐からし" 市販品
赤唐辛子、黒胡麻、陳皮(ミカンの皮)、山椒、麻の実、芥子の実、青海苔
"やげん堀 (中島商店)" 東京 浅草寺門前
生唐辛子、焙煎唐辛子、黒ゴマ、陳皮、サンショウ、ケシの実、麻の実
"八幡屋礒五郎" 長野 善光寺門前
蕃椒(唐辛子)、白薑(生姜)、紫蘇、山椒、陳皮、胡麻、麻種
"七味家本舗" 京都 清水寺門前
赤唐辛子、山椒、白胡麻、黒胡麻、青紫蘇、青海苔、麻の実
東京、長野、京都と西に向かうにしたがって、「辛味」よりも「香り」を重視した配合になっていることが分かる。エスビー食品のものは、ちょうど中間ぐらいか。この違いが生まれたのは江戸時代にさかのぼるという。江戸時代、関東では「蕎麦」が、関西では「うどん」が最も庶民的な食べ物であった。蕎麦つゆが濃口醤油風味であるのに対して、うどんつゆは昆布や鰹の味を活かした薄口醤油風味であった。江戸の七味唐辛子は濃口醤油風味に合うように辛味を強調した配合になっているのに対し、京都の七味唐辛子はダシ味を大切にした薄口醤油風味に合うように香りの良い薬味が多い配合となっているようだ。
香りの良い七味唐辛子であるが、その香りは時として邪魔になることがある。それは、和風料理以外の料理に使う場合である。七味を使うと何が何でも和風の香りになってしまうのである。こういう場合は前述のように「チリペッパー」を使うのであるが、最近、おじさんは「チリペッパー」は「一味唐辛子」で代用できるのではないか?と考えはじめた。
両者とも原材料は「赤唐辛子」だけとなっている。「チリペッパー」の方が「一味唐辛子」より細かく粉砕され、パウダーになっているだけではないのか。
「チリペッパー」は七味や一味ほどには安くはない。一応「スパイス」扱いなので、七味や一味の2倍ほどの価格設定になっている。売っている店も七味や一味ほどには多くない。(少し大きめのスーパーなら、どこでも売っているが) もし、「チリペッパー」が「一味唐辛子」で代用できるのであれば、実に経済的ではないか。と、ケチくさいことを思いついたのである。(S&Bチリペッパーは実売200円程度である)
ためしに匂いを嗅いでみる。「七味唐辛子」が一番良い香りがする。ただし、純和風の香りである。「一味唐辛子」は唐辛子の香りがする。特に和風の香りということはない。チリペッパーは少しだけエキゾチックな香りがする(ような気がする)が、基本的には唐辛子の香りである。これなら行けそうである。
スパゲッティ(ペペロンチーノ)に「一味唐辛子」をかけて食べてみる。まるっきり無問題である。美味しくいただける。香りも問題ない。そういえば、宅配ピザに付いてくる"McCormick Crushed Red Pepper"なんてのは、見るからに一味そっくりだ。
大成功だ。これからは高価?なチリペッパーを買う必要が無くなるぞ!と大喜びしたのであるが、ひとつだけ引っかかることがある。チリペッパーのビンには小さい文字で「カイエンペッパー」と書いてあるのだ。カイエンペッパーって何だろう?唐辛子とは違う種類なのか?
うちのチリペッパーの発売元である、"S&B食品 スパイス&ハーブ総合研究所"の"Q&A"には、カイエンペッパーについて、こう記されている。「呼称上の混乱はあるが、料理講師や料理人は唐辛子のことを「カイエン」と呼ぶことが多い。そのため、業務用唐辛子の商品名はカイエンペッパーという名前になっていることが多い。しかし、中身は唐辛子そのものである」と記されている。
発売元のS&Bが言うのだから、カイエンペッパーとは唐辛子のことなのだろう。さらに、"楽天市場のS&B食品オンラインショップ"では、カイエンペッパーとは赤唐辛子、チリペッパー、レッドペッパーのことであると書かれてある。カイエンペッパーは和洋中いずれの料理にも合う、和風煮物にもお勧めと書いてある。要するに万能香辛料ということである。
さらに調べてみると、カイエンペッパーというのは「カイエン種」という種類の唐辛子であることが分かった。スナック菓子"暴君ハバネロ"で有名になった「ハバネロ」も唐辛子の種名であるし、タバスコソースの「タバスコ」も種名なのである。和食洋食、どちらに合うかではなく、唐辛子の種類が違うのだ。
逆もまた真なり、という式が成り立つかどうか不明であるが、「一味唐辛子」を「チリペッパー」に代用しても何ら問題はなさそうである。「代用」というより、そもそも両者は同じものなのかもしれない。それにしては、チリペッパーはやや高いが。使っている唐辛子の種類が違うのだろうか。
それにしても、調べてみると、唐辛子には実に色々な種類があることが分かる。パプリカ、ピーマン、シシトウなども唐辛子の仲間である。これらは辛くない種類なのだ。ときどき遭遇する激辛シシトウは先祖帰りなのだろうか。
辛い唐辛子の代表がカイエン、タバスコ、ハラペーニョ、ハバネロなどらしい。唐辛子の辛さのもとになる成分を「カプサイシン」というが、「カプサイシン」自体は無味無臭だと言われている。では、なぜ辛いかというと、痛覚に直接作用するためなのだそうだ。
「辛さ」を表わす尺度として、単位がちゃんと決められており、"Scoville Unit"と呼ばれている。テキサス農業大学の薬理学者"Wilbur Scoville"博士が考え出した単位だという。スコービル・ユニットの量は、唐辛子に含まれるカプサイシンの量によって決定される。代表的な唐辛子の"Scoville Unit"は下記のとおり。
Scoville Units
----------------------------------------------------
0-100 : Bell, Sweet Peppers
500-1000 : New Mexican Peppers
1000-2500 : Ancho, Pasilla, Cascabel Peppers
2500-5000 : Jalapeno, Mirasol Peppers
5,000-15,000 : Serrano
15,000-30,000 : de Arbol Peppers, Japone
30,000-50,000 : Cayenne, Tabasco Peppers
50,000-100,000 : Chiltepin Peppers
100,000-350,000 : Scotch Bonnet, Thai Peppers
200,000-577,000 : Habanero Peppers
16 million : Pure Capsaicin
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"Japone"というのは日本の唐辛子であろうか、30,000単位とは健闘である。カイエン、タバスコも強い。タイの唐辛子も予想どおり激辛だ。しかし、ハバネロの577,000単位には恐れ入る。さすがは、素手で収穫すると火傷をすると言われる唐辛子である。辛さを調整していない本物のハバネロは、「暴君ハバネロ」など問題にならないほど辛いのだろうな。おじさん、一度でいいから、ハバネロで作った一味唐辛子(Crushed Habanero Pepper?)、食べてみたいよ。いや、食べたら死ぬよな。"Chile Pepper - The Zesty Life"あたりを読んで、唐辛子の研究をしてからにしよう。
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2005/02/28 追記
"トウガラシの辛味成分"というサイトによると、日本在来種の唐辛子にもかなり辛いものがあることが分かった。三鷹、熊鷹という品種のスコービルユニット数は下記のとおりである。
三鷹 : 50,000~60,000
熊鷹 : 125,000~150,000
三鷹の場合、カイエン、タバスコより辛く、熊鷹にいたってはタイの唐辛子に匹敵する辛さである。日本の唐辛子もなかなかやるものである。

和風料理の場合は、「七味唐辛子」あるいは「一味唐辛子」をかける。中華料理、朝鮮料理、タイ料理、欧風料理などの場合は、「チリペッパー」をかける。いずれも高価なものではない。どこでも買える"エスビー食品"の普及品である。
おじさんは、「一味」よりも「七味」の方が使用頻度が高い。七味の方が香りが良いので、単に辛さを求める場合にも、七味を優先しがちなのである。「一味唐辛子」と「チリペッパー」の原材料が「赤唐辛子」だけなのに対して、「七味唐辛子」は様々な香辛料を混ぜた複合香辛料である。その配合成分、配合比率は地域、製造会社によって微妙に異なる。代表的な「七味唐辛子」の成分を挙げてみると、以下のようになる。
"エスビー食品 七味唐からし" 市販品
赤唐辛子、黒胡麻、陳皮(ミカンの皮)、山椒、麻の実、芥子の実、青海苔
"やげん堀 (中島商店)" 東京 浅草寺門前
生唐辛子、焙煎唐辛子、黒ゴマ、陳皮、サンショウ、ケシの実、麻の実
"八幡屋礒五郎" 長野 善光寺門前
蕃椒(唐辛子)、白薑(生姜)、紫蘇、山椒、陳皮、胡麻、麻種
"七味家本舗" 京都 清水寺門前
赤唐辛子、山椒、白胡麻、黒胡麻、青紫蘇、青海苔、麻の実
東京、長野、京都と西に向かうにしたがって、「辛味」よりも「香り」を重視した配合になっていることが分かる。エスビー食品のものは、ちょうど中間ぐらいか。この違いが生まれたのは江戸時代にさかのぼるという。江戸時代、関東では「蕎麦」が、関西では「うどん」が最も庶民的な食べ物であった。蕎麦つゆが濃口醤油風味であるのに対して、うどんつゆは昆布や鰹の味を活かした薄口醤油風味であった。江戸の七味唐辛子は濃口醤油風味に合うように辛味を強調した配合になっているのに対し、京都の七味唐辛子はダシ味を大切にした薄口醤油風味に合うように香りの良い薬味が多い配合となっているようだ。
香りの良い七味唐辛子であるが、その香りは時として邪魔になることがある。それは、和風料理以外の料理に使う場合である。七味を使うと何が何でも和風の香りになってしまうのである。こういう場合は前述のように「チリペッパー」を使うのであるが、最近、おじさんは「チリペッパー」は「一味唐辛子」で代用できるのではないか?と考えはじめた。
両者とも原材料は「赤唐辛子」だけとなっている。「チリペッパー」の方が「一味唐辛子」より細かく粉砕され、パウダーになっているだけではないのか。
「チリペッパー」は七味や一味ほどには安くはない。一応「スパイス」扱いなので、七味や一味の2倍ほどの価格設定になっている。売っている店も七味や一味ほどには多くない。(少し大きめのスーパーなら、どこでも売っているが) もし、「チリペッパー」が「一味唐辛子」で代用できるのであれば、実に経済的ではないか。と、ケチくさいことを思いついたのである。(S&Bチリペッパーは実売200円程度である)
ためしに匂いを嗅いでみる。「七味唐辛子」が一番良い香りがする。ただし、純和風の香りである。「一味唐辛子」は唐辛子の香りがする。特に和風の香りということはない。チリペッパーは少しだけエキゾチックな香りがする(ような気がする)が、基本的には唐辛子の香りである。これなら行けそうである。
スパゲッティ(ペペロンチーノ)に「一味唐辛子」をかけて食べてみる。まるっきり無問題である。美味しくいただける。香りも問題ない。そういえば、宅配ピザに付いてくる"McCormick Crushed Red Pepper"なんてのは、見るからに一味そっくりだ。
大成功だ。これからは高価?なチリペッパーを買う必要が無くなるぞ!と大喜びしたのであるが、ひとつだけ引っかかることがある。チリペッパーのビンには小さい文字で「カイエンペッパー」と書いてあるのだ。カイエンペッパーって何だろう?唐辛子とは違う種類なのか?
うちのチリペッパーの発売元である、"S&B食品 スパイス&ハーブ総合研究所"の"Q&A"には、カイエンペッパーについて、こう記されている。「呼称上の混乱はあるが、料理講師や料理人は唐辛子のことを「カイエン」と呼ぶことが多い。そのため、業務用唐辛子の商品名はカイエンペッパーという名前になっていることが多い。しかし、中身は唐辛子そのものである」と記されている。
発売元のS&Bが言うのだから、カイエンペッパーとは唐辛子のことなのだろう。さらに、"楽天市場のS&B食品オンラインショップ"では、カイエンペッパーとは赤唐辛子、チリペッパー、レッドペッパーのことであると書かれてある。カイエンペッパーは和洋中いずれの料理にも合う、和風煮物にもお勧めと書いてある。要するに万能香辛料ということである。
さらに調べてみると、カイエンペッパーというのは「カイエン種」という種類の唐辛子であることが分かった。スナック菓子"暴君ハバネロ"で有名になった「ハバネロ」も唐辛子の種名であるし、タバスコソースの「タバスコ」も種名なのである。和食洋食、どちらに合うかではなく、唐辛子の種類が違うのだ。
逆もまた真なり、という式が成り立つかどうか不明であるが、「一味唐辛子」を「チリペッパー」に代用しても何ら問題はなさそうである。「代用」というより、そもそも両者は同じものなのかもしれない。それにしては、チリペッパーはやや高いが。使っている唐辛子の種類が違うのだろうか。
それにしても、調べてみると、唐辛子には実に色々な種類があることが分かる。パプリカ、ピーマン、シシトウなども唐辛子の仲間である。これらは辛くない種類なのだ。ときどき遭遇する激辛シシトウは先祖帰りなのだろうか。
辛い唐辛子の代表がカイエン、タバスコ、ハラペーニョ、ハバネロなどらしい。唐辛子の辛さのもとになる成分を「カプサイシン」というが、「カプサイシン」自体は無味無臭だと言われている。では、なぜ辛いかというと、痛覚に直接作用するためなのだそうだ。
「辛さ」を表わす尺度として、単位がちゃんと決められており、"Scoville Unit"と呼ばれている。テキサス農業大学の薬理学者"Wilbur Scoville"博士が考え出した単位だという。スコービル・ユニットの量は、唐辛子に含まれるカプサイシンの量によって決定される。代表的な唐辛子の"Scoville Unit"は下記のとおり。
Scoville Units
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0-100 : Bell, Sweet Peppers
500-1000 : New Mexican Peppers
1000-2500 : Ancho, Pasilla, Cascabel Peppers
2500-5000 : Jalapeno, Mirasol Peppers
5,000-15,000 : Serrano
15,000-30,000 : de Arbol Peppers, Japone
30,000-50,000 : Cayenne, Tabasco Peppers
50,000-100,000 : Chiltepin Peppers
100,000-350,000 : Scotch Bonnet, Thai Peppers
200,000-577,000 : Habanero Peppers
16 million : Pure Capsaicin
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"Japone"というのは日本の唐辛子であろうか、30,000単位とは健闘である。カイエン、タバスコも強い。タイの唐辛子も予想どおり激辛だ。しかし、ハバネロの577,000単位には恐れ入る。さすがは、素手で収穫すると火傷をすると言われる唐辛子である。辛さを調整していない本物のハバネロは、「暴君ハバネロ」など問題にならないほど辛いのだろうな。おじさん、一度でいいから、ハバネロで作った一味唐辛子(Crushed Habanero Pepper?)、食べてみたいよ。いや、食べたら死ぬよな。"Chile Pepper - The Zesty Life"あたりを読んで、唐辛子の研究をしてからにしよう。
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2005/02/28 追記
"トウガラシの辛味成分"というサイトによると、日本在来種の唐辛子にもかなり辛いものがあることが分かった。三鷹、熊鷹という品種のスコービルユニット数は下記のとおりである。
三鷹 : 50,000~60,000
熊鷹 : 125,000~150,000
三鷹の場合、カイエン、タバスコより辛く、熊鷹にいたってはタイの唐辛子に匹敵する辛さである。日本の唐辛子もなかなかやるものである。
by xylocopal | 2005-01-28 00:01 | Foods





















