2005年 03月 04日
懐かしの拡張カードたち |
おじさんが自作PCを使うようになったのは1996年からである。パソコンそのものは1988年から触っているが、ノートパソコンばかり使ってきたので、デスクトップの"PC/AT互換機"に触れたのは、"Windows 95"が発売された1995年以降なのである。したがって、ATマザー時代から自作をしてはいるものの、i486シリーズのCPUを自作PCで使ったことはない。

それでも、10年近く自作PCを使っていると、パーツがいろいろ余ってくる。サブPCに流用したり、人にあげたり、オークションで売ったりして減ったとはいえ、まだけっこうな数が残っている。規格が変わって使えなくなったり、性能的に問題があるため使わなくなったりした、もはや二度と使うことはないものばかりである。不燃ゴミとして捨ててしまえばよいのだが、愛着があるものも多く、また、こうした電子パーツを眺めるのが好きという変わった性癖を持っているので、なかなか捨てられない。
おじさんは、こうした拡張カードの類が好きである。なかなか美しいと思う。興味がない者にとっては似たようなカードばかりであるが、それぞれ微妙にサイズやパーツ配置が違っていたりして実に個性的である。こうした電子部品を美しいと思うのは何かの病気かもしれない。今まで使ってきた拡張カードの中から印象に残るものについて書いてみることにする。
■"CREATIVE SoundBlaster AWE32" Sound Card

重厚長大な"ISAバス"のサウンドカード。全長30cm近くある。このため、ISAバスPC全盛時代ですら、入らないPCケースがときどきあった。ISAバスや"VLバス"全盛の時代には、拡張カードのサイズは現在よりかなり巨大であった。大きくて立派に見えるが、ローテクの象徴のようなものである。集積度が上がった現在では、ほぼ同等の機能をもったサウンドカードシステムが1チップとなり、マザーボード上に実装されるようになった。本当にこの世界の技術革新のスピードは速い。
このカード、"DOS"のゲームと互換性が保てるため、一時非常に人気があったサウンドカードである。シリーズには、SoundBlaster 16、SoundBlaster AWE64などがあった。1990年代前半は、サウンドブラスターとCD-ROMドライブさえ装備していれば「マルチメディアパソコン」と呼ばれたのである。
"MIDI"ファイル再生用ウェーブテーブルシンセサイザとして"E-MU"社の"E-mu8000"チップを搭載し、16種類の楽器音を32音同時に再生可能であった。しかし、このようなハードウェア音源の時代はすぐに去り、ソフトウェアシンセサイザーの時代となった。やがて、ファイルサイズが小さく配信に便利なMIDIも、ボーカル再生ができないなど表現力に制限があることから、ブロードバンド時代には次第に姿を消し、"MP3"などに置き換えられることになった。E-mu8000チップ搭載のサウンドブラスターも過去の遺物となってしまった。
サウンドブラスターシリーズの中でも、16/AWE32/AWE64あたりは非常に売れたので、ほとんどのOSがドライバを標準装備している。Windowsの場合、OSセットアップの際に、ドライバが自動的に組み込まれるから、OSインストール完了とともに音が出る。OSインストールが簡単で便利であった。
■"NoBland" NE2000 Compatible 10Base-T LAN Card

ISAバス接続の10Base-T LAN Card。上のサウンドブラスターと比べると、基盤がスカスカである。パターンだけ印刷され、部品が実装されていない部分があまりにも多い。最近のLANカードであれば、こうしたものも多くなっているが、10年前のカードなのである。これでも動いたのだから不思議である。この時代のLANカードは端子が10Base-T用、10Base2用、10Base5用と2つから3つ付いたものが多かったが、このカードでは現在のものと同じように、10Base-T用の"RJ45"のみとなっているため、より一層さっぱりとして見える。
このカードは、一時期、業界標準といわれた"Novell NE2000互換"のLANカードである。"National Semiconductor DP8390"というコントローラチップ互換の動作をすることになっている。NE2000互換を謳うLANカードは世界中に数百はあるだろうと思われる。様々なOSがサポートしているし、とりあえず、NE2000互換LANカードを使っておけば問題はなかろう、という風潮があったからである。1990年代中頃、1000円前後で売られている安価なLANカードの大半はNE2000互換カードであった。
しかしながら、案ずるより産むは難し。互換動作をすることになっている、というところがクセモノで、このカードに苦労したユーザは多いと思う。ISAバス接続のLANカードというのは、リソースの取り方が神経質で、IRQ、I/Oアドレスが微妙に違うと全く動作しない。"Plug and Play"と書いてあっても信用してはいけないのである。実際には、"Plug and Pray"(挿したら祈れ)、動作するよう神に祈れ、というものが多かったのである。おじさんも、PnPは早々にあきらめて、手動トライアル&エラーで何とか使えるように設定した記憶がある。
一時は全盛を誇った、NE2000互換LANカードであるが、ISAバスの上、10Baseという速度の遅さが時代について行けなくなり、現在ではほとんど見かけることはなくなった。ところが、ネット上で調べていたところ、CONTECという会社がウェブサイト上に、"CONTEC C-NET (AT) P2-T"という名前でNE2000互換LANカードを掲載しているのである。おそらく、ウェブサイトをリニューアルする際に削除し忘れたのだろうとは思うが、ごく少数ではあるが、NE2000互換LANカードを必要とする客層があって、そのために残しているのかもしれない。この業界、ときどきそうしたシーラカンス的需要があるのである。
■"Matrox MGA Millennium" Graphic Card

いわゆる初代無印ミレニアムである。1996年に58000円も出して買ったもの。これを何と2枚も持っているから、相当に痛い。よくこんなものに11万円も出したなぁというのが今の実感。たしかに、当時は性能/画質ともに抜きんでた存在であった。少しでも速い描画性能を目指す者は皆ミレニアムを買った。高価ではあったが満足度は非常に高く、結局、速度よりも毎日眼にする画質、すなわち、コントラスト・輪郭がシャープな画質の方に惹かれた者は多いらしい。そのため、Matrox教、Millennium教の信者となる者が続出したという。かくいうおじさんもそのひとりである。未だに、"Millennium G550"というビデオカードを愛用している。
当時としては、抜群の高速ビデオカードのため、ピーキーで扱いにくいとか、とんがった特性だとか、OSが落ちやすいだとか、事前の情報収集では「速いが使いづらい」というものが多かった。しかし、使ってみれば全く逆であるとが分かった。非常に安定していて使いやすいのである。カナダの"Mtrox"社もビデオドライバの開発に熱心で、最新版、安定版、高速版など様々なニーズに応じてビデオドライバを供給した。バグフィックスも速く、ユーザとしては安心して使うことができた。このあたり、信者を増やす原因となったものと思われる。
あれほど、「激速」で名前を売った"Matrox"であるが、どうも最近は元気がない。ゲーム業界が3Dにシフトしたあたりからであろうか。現在、"Millennium P750"、"Parhelia"という製品があるが、どうやらあまり速くはないようである。"NVIDIA"、"ATI"などと比べると、マニア受けしないメーカーになってしまった。"ATI"は、"Mach32"、"Mach64"というビデオカードを出していた頃は非常に元気があったにもかかわらず、一時は鳴かず飛ばずで潰れてしまったのかと思ったぐらいであるが、見事に復活した。それにくらべれば、"Matrox"は常に製品を出し続けているのだから、もう少し頑張ったらどうだ?とも言いたくなる。
しかし、つらつら考えるに、"Millennium"の後継機"Millennium 2"を出したあたりから、"Matrox"は「激速」を狙うのを、会社の方針として止めてしまったようだ。"Millennium"以後の製品ラインナップを見ても、それが分かる。美しい画質、安定した性能、マルチディスプレイなどの機能性を追求しているようにみえるのだ。最近は"医療用画像情報システム"の分野にも進出しているらしい。精細な画質と安定性を要求される医療分野への進出はMatroxらしいことである。おじさんは、PCではゲームをやらないし、ビデオカードに求めるものは速さより画質と安定性に変わってしまった。中年用ビデオカードとしては良い選択かもしれない。
"価格比較サイト coneco.net"で調べてみると、まだまだ、"Matrox"のビデオカードは人気があることが分かる。(検索結果) おじさんが使っている"Millennium G550"は様々なパッケージで何種類も登場しているし、"Millennium P650"にいたっては「ビデオカード 商品クリックランキング」で堂々3位である。"Matrox"の方針を支持する、おじさんのようなユーザがけっこう多そうである。もはや、PCを使うのは若者ばかりの時代ではない。"Matrox"には今のままのポリシーで製品開発を進めてほしいと思う。
■"Adaptec AHA-2940UW" SCSI Card

"Adaptec"純正の"Ultra Wide SCSI"カードである。一時は非常に高価なものであった。今のメインマシンでも1枚同じものを使っている。つまり2枚持っているわけである。しかし、買ったわけではない。友人が某所より横流ししてくれたものである。このSCSIカードの価値が分からない某経営者にお願いして、自分の分と一緒に無料で貰ってきてくれたのだ。ありがたいことである。持つべきは良い友人である。
おじさんは、一時期、メインPCを"Full SCSI"システムにしていた時期があった。IDE HDDよりもSCSI HDDの方が微妙に速かった時代である。その頃は、このカードを2枚刺しにして、1枚はHDD専用、もう1枚はCD-ROM、カードリーダ、スキャナ用として使っていた。高速系と低速系を一応分けたのだが、効果は体感できるものではなかった。
Full SCSIシステムは費用がかかる。HDDやドライブ類がIDEよりかなり高価なのだ。HDD換装のたびに、なんでこんな馬鹿らしいことをしているのか?と思ったものである。そのうちに、IDE HDDの速度がどんどん上がり、もはやSCSI HDDのメリットは何もなくなってしまった。そんなわけで、今は普通のIDE HDDを使っている。
デジカメのCFを読むためのカードリーダとフラットベッドスキャナがSCSI接続のため、未だにメインPCでは、このカードを1枚使っている。カードリーダもスキャナも今はUSB接続がほとんどである。どちらかが寿命を迎えたら、このカードごとSCSI機器は止めて、USBに切り替えようと思っている。主流でない装置を維持するのはコストがかかるからである。
この"Adaptec AHA-2940UW"も、"CREATIVE SoundBlaster AWE32"と同様に、対応OSが多く、ほとんどの場合、OSが標準でデバイスドライバを持っている。そのため、格別ドライバをインストールしなくても、OSインストール時に"Plug and Play"で認識し、自動的にドライバがインストールされる。少し古めのよく売れた拡張カードを使うと、OSインストール時に少しだけ不精ができる。
■"Tekram DC-390U/F" SCSI Card

Tekramが誇る格安"Ultra Wide SCSI"カード。Adaptec純正SCSIカードが高価であるのに対して、TekramのSCSIカードはAdaptecの半額以下という安さで売れに売れた。性能も安定性も悪くなく、ブランドにこだわりがない自作PCマニアならTekramのDC-390シリーズを買うのが普通であった。しかし、企業などでは万一の相性問題などを考慮して、AdaptecのSCSIカードを使用する傾向があった。
当時、オフィス内のSCSI機器は、CD-ROM/MOなどドライブ類、テープストリーマ、スキャナ類など結構多く、うまく動作しないときは真っ先にSCSIカードが疑われたものである。その頃は、SCSIカードとSCSI機器の相性問題というのがけっこうあったのである。その点、ほとんどのSCSI機器はリファレンスSCSIカードとして、Adaptecの製品を想定していたから、AdaptecのSCSIカードを買っておけば安心だったのである。安心というのには、サポートセンターに電話した際に、「お前のところが推奨しているAdaptecのSCSIカードを使っているのに、おかしいじゃないか」と言えることを含む。
"Adaptec 2940UW"とは異なり、このカードは自前で買った。かなり気に入ったので、マザーボードもTekramのものを使ったことがある。これといった特徴はないが、安定した良いマザーボードであった。最近のテクラムはマザーボードを作っていないが、充分製造する能力がある会社だと思う。得意な分野に絞り込んでコスト競争に生き残る、というのも分かるが、テクラム製マザーボードも復活させてほしいものである。
■"Accton EN1207TX" 10/100Base-T LAN Card

名門"Accton"製の10/100Base-T LANカード。1996年に購入。当時(今もそうであるが)、"Accton"といえば、ハブやスイッチやルータがメインの会社であり、LANカードはあまり市場に出回っていなかった。浜松の"システムワークス"という会社に発注したものであるが、発注時にはLANのことがよく分かっておらず、「お勧めのLANカードでお願いします」というような買い方をした記憶がある。そうしたら、このカードが送られてきたのであった。その頃、システムワークスからは無印ミレニアムを2枚買っていたから、対応は非常に良かった。そんな訳で、非常にレアもののアクトン製10/100NICを入手したのである。
このLANカードは非常に優秀で、ずいぶん長い間使い続けた。速度も速いし、非常に安定しておりトラブル皆無であったし、対応ドライバがなくて困ると言うこともなかったし、システムワークスは本当に良いものを送ってくれたと思う。現在のマザーボードにオンボードで付いている"3com"ギガビットNICに取り替えるまで、実に8年間も使い続けたのである。
このLANカード自体は、売っているのを見たことがないほどの稀少品であるが、使われているコントローラーチップは非常に多くのLANカードに使われている実績のあるものである。名前を"DEC 21140AF"という。
"DEC"といえば、おじさんの世代にとって、特別の響きがあるメーカーだった。フルネームを"Digital Equipment Corporation"といい、"PDP"シリーズ、"VAX"などのコンピュータにより、一世を風靡した総合コンピュータ企業である。DECのマシン群は揺籃期のインターネットを支え続けた。おじさんが今、こうしてブログを書けるのも、DECのコンピュータのおかげなのである。
1970年代のあるSFの中には、「21世紀、人々はDEC製の超小型端末を誰もが携帯する情報社会となっている」という設定のものがある。ところが現実には、21世紀、DECの名前は無くなってしまった。COMPAQに買収され、そのCOMPAQがHewlett- Packardに買収されてしまったのだ。
その"DEC"は、一時期、"Intel"、"3com"と並んで、LANカードのトップメーカーでもあった。そのため、ほとんどのOSがDEC製LANカードに対応し、ドライバで悩む必要はほとんどなかった。おじさんは、このLANカードで"DEC 21140"シリーズが気に入り、"PLANEX ENW-9501-F"、"Corega FastEther PCI-TX"などの"DEC 21140AF"搭載LANカードを3枚も買った。これらのLANカードは大体つくりが同じなのでドライバも共通して使えることが多い。Windows 2000対応ドライバを出したのはCoregaだけであったが、AcctonでもPlanexでも使えた。
"DEC 21140"シリーズは愛称を"tulip"という。開発コードの類と思われるが、由来はさだかではない。LinuxやFreeBSDのシステムでは、tulipドライバは有名である。この可愛らしい愛称とともに、鉄板LANカードであった"DEC 21140"シリーズは忘れることができないものとなっている。
■"Lectron UE1211B/TX-J" 10/100Base-T LAN Card

"Realtek RTL8139"シリーズというコントローラーチップを搭載したLANカードである。この"RTL8139"シリーズは通称「カニチップ」と呼ばれる。なぜ蟹なのかと言えば、"この写真"を見れば一目瞭然である。チップの表面に描かれたマークが蟹そっくりなのである。おそらく、デザイナーもカニをモチーフにしたものと思われる。
カニチップが乗ったLANカードはたいてい非常に安い。安ければ500円くらいからある。高くても1500円ぐらいである。現代の"NE2000互換NIC"といっても良いかもしれない。そんなに安くて大丈夫か?と問われれば、とりあえず動くことは保証する。おじさんもブロードバンドルータ代わりに使っていたPCルータで、WAN側とLAN側に2枚挿しで使っていたことがある。OSは"Debian GNU/Linux"。OSが標準でドライバを持っていたので、カニチップを選んだのである。
PCルータであるから、LANカードは2枚挿しにする。単価は安いほどよい。しかし、確実に動くものが欲しい、ということで安価な蟹チップ搭載のLANカードを選んだのである。ネットで「カニチップは不安定である、遅い、トラブルの元」という風評を聞くこともあったが、特に問題なく動いていた。当時は、たかだか2MbpsのCATV回線である。遅いといってもLANカードより先に回線が飽和してしまうのであった。
ネットで"RTL8139"を検索すると、しばしば遭遇するのが「CPU負荷が異様に高い」という文言である。トラフィックが多くなると発熱が大きいらしい。やわなシステムの場合、ハードウェアパニックによりシステムダウンを起こすこともあるらしい。どうも、カニチップはあまり出来はよくないようである。
"Realtek"のカニチップは「出来は悪いが、シェアは広い」状況にあるようで、同社のサイトによれば、全世界で60%以上のシェアを持っているらしい。日本の大手メーカーからも何種類も販売されている。"Buffalo LGY-PCI-TXD"、"Corega FEther PCI-TXC Plus"、"ELECOM (Laneed) LD-10100S"、"PLANEX FW-110TX"などが"RTL8139"シリーズのカニチップを使ったLANカードである。
"Realtek RTL 8139"シリーズを使ったLANカードは、"Creative SoundBlaster"や"Adaptec AHA-2940"シリーズと同様、標準でドライバを持っているOSが多い。そのため、OSインストール完了と同時にネットが使えるようになる場合が多い。これは、サウンドカードやSCSIカードの場合より重要である。なぜなら、付属のドライバディスクを無くしてしまったのでダウンロードしようと思ったが、LANカードが認識されてないからダウンロードできない!という状況を回避できるからである。Intelや3comのLANカードもOSデフォルトのドライバで動く場合が多いが、価格がいささか高いのが難点である。
あまたある拡張カードの中で、おじさんが一番好きなのは、LANカードである。いろいろチップの種類があるし、値段もピンキリで面白い。ピンキリと言っても高いものではないから、コレクションしてやろうかと思ったりするが、今のところ、何とか抑制がきいている。同じような趣味の人がいるらしく、ネット上には、"NIC MANIA"というページがあるほどである。けっこうカウンターが回っているから、好きな人が多いのだろう。ガラスケースに入れて毎日覗いたら楽しいだろうなと思う。やはり、ある種の病気に違いない。

それでも、10年近く自作PCを使っていると、パーツがいろいろ余ってくる。サブPCに流用したり、人にあげたり、オークションで売ったりして減ったとはいえ、まだけっこうな数が残っている。規格が変わって使えなくなったり、性能的に問題があるため使わなくなったりした、もはや二度と使うことはないものばかりである。不燃ゴミとして捨ててしまえばよいのだが、愛着があるものも多く、また、こうした電子パーツを眺めるのが好きという変わった性癖を持っているので、なかなか捨てられない。
おじさんは、こうした拡張カードの類が好きである。なかなか美しいと思う。興味がない者にとっては似たようなカードばかりであるが、それぞれ微妙にサイズやパーツ配置が違っていたりして実に個性的である。こうした電子部品を美しいと思うのは何かの病気かもしれない。今まで使ってきた拡張カードの中から印象に残るものについて書いてみることにする。
■"CREATIVE SoundBlaster AWE32" Sound Card

重厚長大な"ISAバス"のサウンドカード。全長30cm近くある。このため、ISAバスPC全盛時代ですら、入らないPCケースがときどきあった。ISAバスや"VLバス"全盛の時代には、拡張カードのサイズは現在よりかなり巨大であった。大きくて立派に見えるが、ローテクの象徴のようなものである。集積度が上がった現在では、ほぼ同等の機能をもったサウンドカードシステムが1チップとなり、マザーボード上に実装されるようになった。本当にこの世界の技術革新のスピードは速い。
このカード、"DOS"のゲームと互換性が保てるため、一時非常に人気があったサウンドカードである。シリーズには、SoundBlaster 16、SoundBlaster AWE64などがあった。1990年代前半は、サウンドブラスターとCD-ROMドライブさえ装備していれば「マルチメディアパソコン」と呼ばれたのである。
"MIDI"ファイル再生用ウェーブテーブルシンセサイザとして"E-MU"社の"E-mu8000"チップを搭載し、16種類の楽器音を32音同時に再生可能であった。しかし、このようなハードウェア音源の時代はすぐに去り、ソフトウェアシンセサイザーの時代となった。やがて、ファイルサイズが小さく配信に便利なMIDIも、ボーカル再生ができないなど表現力に制限があることから、ブロードバンド時代には次第に姿を消し、"MP3"などに置き換えられることになった。E-mu8000チップ搭載のサウンドブラスターも過去の遺物となってしまった。
サウンドブラスターシリーズの中でも、16/AWE32/AWE64あたりは非常に売れたので、ほとんどのOSがドライバを標準装備している。Windowsの場合、OSセットアップの際に、ドライバが自動的に組み込まれるから、OSインストール完了とともに音が出る。OSインストールが簡単で便利であった。
■"NoBland" NE2000 Compatible 10Base-T LAN Card

ISAバス接続の10Base-T LAN Card。上のサウンドブラスターと比べると、基盤がスカスカである。パターンだけ印刷され、部品が実装されていない部分があまりにも多い。最近のLANカードであれば、こうしたものも多くなっているが、10年前のカードなのである。これでも動いたのだから不思議である。この時代のLANカードは端子が10Base-T用、10Base2用、10Base5用と2つから3つ付いたものが多かったが、このカードでは現在のものと同じように、10Base-T用の"RJ45"のみとなっているため、より一層さっぱりとして見える。
このカードは、一時期、業界標準といわれた"Novell NE2000互換"のLANカードである。"National Semiconductor DP8390"というコントローラチップ互換の動作をすることになっている。NE2000互換を謳うLANカードは世界中に数百はあるだろうと思われる。様々なOSがサポートしているし、とりあえず、NE2000互換LANカードを使っておけば問題はなかろう、という風潮があったからである。1990年代中頃、1000円前後で売られている安価なLANカードの大半はNE2000互換カードであった。
しかしながら、案ずるより産むは難し。互換動作をすることになっている、というところがクセモノで、このカードに苦労したユーザは多いと思う。ISAバス接続のLANカードというのは、リソースの取り方が神経質で、IRQ、I/Oアドレスが微妙に違うと全く動作しない。"Plug and Play"と書いてあっても信用してはいけないのである。実際には、"Plug and Pray"(挿したら祈れ)、動作するよう神に祈れ、というものが多かったのである。おじさんも、PnPは早々にあきらめて、手動トライアル&エラーで何とか使えるように設定した記憶がある。
一時は全盛を誇った、NE2000互換LANカードであるが、ISAバスの上、10Baseという速度の遅さが時代について行けなくなり、現在ではほとんど見かけることはなくなった。ところが、ネット上で調べていたところ、CONTECという会社がウェブサイト上に、"CONTEC C-NET (AT) P2-T"という名前でNE2000互換LANカードを掲載しているのである。おそらく、ウェブサイトをリニューアルする際に削除し忘れたのだろうとは思うが、ごく少数ではあるが、NE2000互換LANカードを必要とする客層があって、そのために残しているのかもしれない。この業界、ときどきそうしたシーラカンス的需要があるのである。
■"Matrox MGA Millennium" Graphic Card

いわゆる初代無印ミレニアムである。1996年に58000円も出して買ったもの。これを何と2枚も持っているから、相当に痛い。よくこんなものに11万円も出したなぁというのが今の実感。たしかに、当時は性能/画質ともに抜きんでた存在であった。少しでも速い描画性能を目指す者は皆ミレニアムを買った。高価ではあったが満足度は非常に高く、結局、速度よりも毎日眼にする画質、すなわち、コントラスト・輪郭がシャープな画質の方に惹かれた者は多いらしい。そのため、Matrox教、Millennium教の信者となる者が続出したという。かくいうおじさんもそのひとりである。未だに、"Millennium G550"というビデオカードを愛用している。
当時としては、抜群の高速ビデオカードのため、ピーキーで扱いにくいとか、とんがった特性だとか、OSが落ちやすいだとか、事前の情報収集では「速いが使いづらい」というものが多かった。しかし、使ってみれば全く逆であるとが分かった。非常に安定していて使いやすいのである。カナダの"Mtrox"社もビデオドライバの開発に熱心で、最新版、安定版、高速版など様々なニーズに応じてビデオドライバを供給した。バグフィックスも速く、ユーザとしては安心して使うことができた。このあたり、信者を増やす原因となったものと思われる。
あれほど、「激速」で名前を売った"Matrox"であるが、どうも最近は元気がない。ゲーム業界が3Dにシフトしたあたりからであろうか。現在、"Millennium P750"、"Parhelia"という製品があるが、どうやらあまり速くはないようである。"NVIDIA"、"ATI"などと比べると、マニア受けしないメーカーになってしまった。"ATI"は、"Mach32"、"Mach64"というビデオカードを出していた頃は非常に元気があったにもかかわらず、一時は鳴かず飛ばずで潰れてしまったのかと思ったぐらいであるが、見事に復活した。それにくらべれば、"Matrox"は常に製品を出し続けているのだから、もう少し頑張ったらどうだ?とも言いたくなる。
しかし、つらつら考えるに、"Millennium"の後継機"Millennium 2"を出したあたりから、"Matrox"は「激速」を狙うのを、会社の方針として止めてしまったようだ。"Millennium"以後の製品ラインナップを見ても、それが分かる。美しい画質、安定した性能、マルチディスプレイなどの機能性を追求しているようにみえるのだ。最近は"医療用画像情報システム"の分野にも進出しているらしい。精細な画質と安定性を要求される医療分野への進出はMatroxらしいことである。おじさんは、PCではゲームをやらないし、ビデオカードに求めるものは速さより画質と安定性に変わってしまった。中年用ビデオカードとしては良い選択かもしれない。
"価格比較サイト coneco.net"で調べてみると、まだまだ、"Matrox"のビデオカードは人気があることが分かる。(検索結果) おじさんが使っている"Millennium G550"は様々なパッケージで何種類も登場しているし、"Millennium P650"にいたっては「ビデオカード 商品クリックランキング」で堂々3位である。"Matrox"の方針を支持する、おじさんのようなユーザがけっこう多そうである。もはや、PCを使うのは若者ばかりの時代ではない。"Matrox"には今のままのポリシーで製品開発を進めてほしいと思う。
■"Adaptec AHA-2940UW" SCSI Card

"Adaptec"純正の"Ultra Wide SCSI"カードである。一時は非常に高価なものであった。今のメインマシンでも1枚同じものを使っている。つまり2枚持っているわけである。しかし、買ったわけではない。友人が某所より横流ししてくれたものである。このSCSIカードの価値が分からない某経営者にお願いして、自分の分と一緒に無料で貰ってきてくれたのだ。ありがたいことである。持つべきは良い友人である。
おじさんは、一時期、メインPCを"Full SCSI"システムにしていた時期があった。IDE HDDよりもSCSI HDDの方が微妙に速かった時代である。その頃は、このカードを2枚刺しにして、1枚はHDD専用、もう1枚はCD-ROM、カードリーダ、スキャナ用として使っていた。高速系と低速系を一応分けたのだが、効果は体感できるものではなかった。
Full SCSIシステムは費用がかかる。HDDやドライブ類がIDEよりかなり高価なのだ。HDD換装のたびに、なんでこんな馬鹿らしいことをしているのか?と思ったものである。そのうちに、IDE HDDの速度がどんどん上がり、もはやSCSI HDDのメリットは何もなくなってしまった。そんなわけで、今は普通のIDE HDDを使っている。
デジカメのCFを読むためのカードリーダとフラットベッドスキャナがSCSI接続のため、未だにメインPCでは、このカードを1枚使っている。カードリーダもスキャナも今はUSB接続がほとんどである。どちらかが寿命を迎えたら、このカードごとSCSI機器は止めて、USBに切り替えようと思っている。主流でない装置を維持するのはコストがかかるからである。
この"Adaptec AHA-2940UW"も、"CREATIVE SoundBlaster AWE32"と同様に、対応OSが多く、ほとんどの場合、OSが標準でデバイスドライバを持っている。そのため、格別ドライバをインストールしなくても、OSインストール時に"Plug and Play"で認識し、自動的にドライバがインストールされる。少し古めのよく売れた拡張カードを使うと、OSインストール時に少しだけ不精ができる。
■"Tekram DC-390U/F" SCSI Card

Tekramが誇る格安"Ultra Wide SCSI"カード。Adaptec純正SCSIカードが高価であるのに対して、TekramのSCSIカードはAdaptecの半額以下という安さで売れに売れた。性能も安定性も悪くなく、ブランドにこだわりがない自作PCマニアならTekramのDC-390シリーズを買うのが普通であった。しかし、企業などでは万一の相性問題などを考慮して、AdaptecのSCSIカードを使用する傾向があった。
当時、オフィス内のSCSI機器は、CD-ROM/MOなどドライブ類、テープストリーマ、スキャナ類など結構多く、うまく動作しないときは真っ先にSCSIカードが疑われたものである。その頃は、SCSIカードとSCSI機器の相性問題というのがけっこうあったのである。その点、ほとんどのSCSI機器はリファレンスSCSIカードとして、Adaptecの製品を想定していたから、AdaptecのSCSIカードを買っておけば安心だったのである。安心というのには、サポートセンターに電話した際に、「お前のところが推奨しているAdaptecのSCSIカードを使っているのに、おかしいじゃないか」と言えることを含む。
"Adaptec 2940UW"とは異なり、このカードは自前で買った。かなり気に入ったので、マザーボードもTekramのものを使ったことがある。これといった特徴はないが、安定した良いマザーボードであった。最近のテクラムはマザーボードを作っていないが、充分製造する能力がある会社だと思う。得意な分野に絞り込んでコスト競争に生き残る、というのも分かるが、テクラム製マザーボードも復活させてほしいものである。
■"Accton EN1207TX" 10/100Base-T LAN Card

名門"Accton"製の10/100Base-T LANカード。1996年に購入。当時(今もそうであるが)、"Accton"といえば、ハブやスイッチやルータがメインの会社であり、LANカードはあまり市場に出回っていなかった。浜松の"システムワークス"という会社に発注したものであるが、発注時にはLANのことがよく分かっておらず、「お勧めのLANカードでお願いします」というような買い方をした記憶がある。そうしたら、このカードが送られてきたのであった。その頃、システムワークスからは無印ミレニアムを2枚買っていたから、対応は非常に良かった。そんな訳で、非常にレアもののアクトン製10/100NICを入手したのである。
このLANカードは非常に優秀で、ずいぶん長い間使い続けた。速度も速いし、非常に安定しておりトラブル皆無であったし、対応ドライバがなくて困ると言うこともなかったし、システムワークスは本当に良いものを送ってくれたと思う。現在のマザーボードにオンボードで付いている"3com"ギガビットNICに取り替えるまで、実に8年間も使い続けたのである。
このLANカード自体は、売っているのを見たことがないほどの稀少品であるが、使われているコントローラーチップは非常に多くのLANカードに使われている実績のあるものである。名前を"DEC 21140AF"という。
"DEC"といえば、おじさんの世代にとって、特別の響きがあるメーカーだった。フルネームを"Digital Equipment Corporation"といい、"PDP"シリーズ、"VAX"などのコンピュータにより、一世を風靡した総合コンピュータ企業である。DECのマシン群は揺籃期のインターネットを支え続けた。おじさんが今、こうしてブログを書けるのも、DECのコンピュータのおかげなのである。
1970年代のあるSFの中には、「21世紀、人々はDEC製の超小型端末を誰もが携帯する情報社会となっている」という設定のものがある。ところが現実には、21世紀、DECの名前は無くなってしまった。COMPAQに買収され、そのCOMPAQがHewlett- Packardに買収されてしまったのだ。
その"DEC"は、一時期、"Intel"、"3com"と並んで、LANカードのトップメーカーでもあった。そのため、ほとんどのOSがDEC製LANカードに対応し、ドライバで悩む必要はほとんどなかった。おじさんは、このLANカードで"DEC 21140"シリーズが気に入り、"PLANEX ENW-9501-F"、"Corega FastEther PCI-TX"などの"DEC 21140AF"搭載LANカードを3枚も買った。これらのLANカードは大体つくりが同じなのでドライバも共通して使えることが多い。Windows 2000対応ドライバを出したのはCoregaだけであったが、AcctonでもPlanexでも使えた。
"DEC 21140"シリーズは愛称を"tulip"という。開発コードの類と思われるが、由来はさだかではない。LinuxやFreeBSDのシステムでは、tulipドライバは有名である。この可愛らしい愛称とともに、鉄板LANカードであった"DEC 21140"シリーズは忘れることができないものとなっている。
■"Lectron UE1211B/TX-J" 10/100Base-T LAN Card

"Realtek RTL8139"シリーズというコントローラーチップを搭載したLANカードである。この"RTL8139"シリーズは通称「カニチップ」と呼ばれる。なぜ蟹なのかと言えば、"この写真"を見れば一目瞭然である。チップの表面に描かれたマークが蟹そっくりなのである。おそらく、デザイナーもカニをモチーフにしたものと思われる。
カニチップが乗ったLANカードはたいてい非常に安い。安ければ500円くらいからある。高くても1500円ぐらいである。現代の"NE2000互換NIC"といっても良いかもしれない。そんなに安くて大丈夫か?と問われれば、とりあえず動くことは保証する。おじさんもブロードバンドルータ代わりに使っていたPCルータで、WAN側とLAN側に2枚挿しで使っていたことがある。OSは"Debian GNU/Linux"。OSが標準でドライバを持っていたので、カニチップを選んだのである。
PCルータであるから、LANカードは2枚挿しにする。単価は安いほどよい。しかし、確実に動くものが欲しい、ということで安価な蟹チップ搭載のLANカードを選んだのである。ネットで「カニチップは不安定である、遅い、トラブルの元」という風評を聞くこともあったが、特に問題なく動いていた。当時は、たかだか2MbpsのCATV回線である。遅いといってもLANカードより先に回線が飽和してしまうのであった。
ネットで"RTL8139"を検索すると、しばしば遭遇するのが「CPU負荷が異様に高い」という文言である。トラフィックが多くなると発熱が大きいらしい。やわなシステムの場合、ハードウェアパニックによりシステムダウンを起こすこともあるらしい。どうも、カニチップはあまり出来はよくないようである。
"Realtek"のカニチップは「出来は悪いが、シェアは広い」状況にあるようで、同社のサイトによれば、全世界で60%以上のシェアを持っているらしい。日本の大手メーカーからも何種類も販売されている。"Buffalo LGY-PCI-TXD"、"Corega FEther PCI-TXC Plus"、"ELECOM (Laneed) LD-10100S"、"PLANEX FW-110TX"などが"RTL8139"シリーズのカニチップを使ったLANカードである。
"Realtek RTL 8139"シリーズを使ったLANカードは、"Creative SoundBlaster"や"Adaptec AHA-2940"シリーズと同様、標準でドライバを持っているOSが多い。そのため、OSインストール完了と同時にネットが使えるようになる場合が多い。これは、サウンドカードやSCSIカードの場合より重要である。なぜなら、付属のドライバディスクを無くしてしまったのでダウンロードしようと思ったが、LANカードが認識されてないからダウンロードできない!という状況を回避できるからである。Intelや3comのLANカードもOSデフォルトのドライバで動く場合が多いが、価格がいささか高いのが難点である。
あまたある拡張カードの中で、おじさんが一番好きなのは、LANカードである。いろいろチップの種類があるし、値段もピンキリで面白い。ピンキリと言っても高いものではないから、コレクションしてやろうかと思ったりするが、今のところ、何とか抑制がきいている。同じような趣味の人がいるらしく、ネット上には、"NIC MANIA"というページがあるほどである。けっこうカウンターが回っているから、好きな人が多いのだろう。ガラスケースに入れて毎日覗いたら楽しいだろうなと思う。やはり、ある種の病気に違いない。
by xylocopal | 2005-03-04 03:45 | Computer






